「江南の橘江北の枳となる」の真実|なぜ環境で人は変わるのか徹底解剖

「江南の橘江北の枳となる」の真実|なぜ環境で人は変わるのか徹底解剖

「江南の橘江北の枳となる」の真実|なぜ環境で人は変わるのか徹底解剖にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

高校の漢文教科書や大学入試でも頻出する重要単元「晏子使楚」より、該当箇所の原文構造と訓読のルールを整理します。

原文(白文)と訓読表記

嬰聞之、橘生江南則為橘、生于江北則為枳。葉徒相似、其實味不同。所以然者何。水土異也。今民生長於斉不盗、入楚則盗。得無楚之水土使民善盗乎。

書き下し文

嬰(えい)之を聞く、橘(たちばな)江南に生ずれば則(すなわ)ち橘と為(な)り、江北に生ずれば則ち枳(からたち)と為る、と。葉は徒(いたず)らに相(あい)似たれども、其(そ)の実の味は同じからず。然(しか)る所以(ゆえん)の者は何(なん)ぞ。水土異なればなり。今民、斉に生長しては盗まず、楚に入りては則ち盗む。楚の水土民をして善(よ)く盗ま使(し)むる無きを得んや。

現代語訳

私(晏嬰)は次のように聞いております。「橘は長江の南に生えれば橘となるが、長江の北に生えれば枳となってしまう。葉の形こそいたずらに似ているが、その果実の味はまるで違う。そうなる理由は何か。水と土(風土・環境)が異なるからである」と。今、斉の民は斉で生まれ育った時には盗みなどしなかったのに、楚に来るやいなや盗みを働いた。楚の風土が、人民に盗みを働かせているのではないと、どうして言えましょうか(楚の環境が盗人に仕立て上げたに違いない)。

漢文テスト対策で押さえるべき重要文法4選

  • 「徒」の副詞用法:「徒(いたづら)に」と読み、「ただ〜だけ」「無駄に」の意味を持つ。「葉徒相似」は「葉の形だけはただ似ているが」と訳す。
  • 「所以然者何」の理由説明構造:「然る所以の者は何ぞ」は疑問形で、「そうなる理由は何か」という意味。「水土異なればなり」という解答とセットで記述問題の定番。
  • 使役の助字「使」:「使民善盗」は「民をして善(よ)く盗ま使(し)む」と訓読。「善く」は「巧みに」「よく〜する(〜しがちである)」の意。
  • 反語表現「得無〜乎」:「〜無きを得んや」と読み、「〜ではないだろうか、いや〜に違いない」という強い反語的推量を表す。直訳の丸暗記ではなく、晏嬰の楚王に対する痛烈な皮肉のニュアンスを理解しておくことが高得点の鍵を握る。
中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。