「フックアップされる」という受動態の表現は、若手アーティストが実力派の先輩に見出され、大きなチャンスを与えられる瞬間に使われます。具体的には、大御所ラッパーの全国ツアーのオープニングアクトへの抜擢、メガヒットシングルの客演ラッパーとしての指名、あるいは有力レーベルへの電撃加入などがその代表例です。
アメリカのヒップホップ史を見れば、Dr. Dre(ドクター・ドレー)がSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)やEminem(エミネム)を見出し、さらにそのエミネムが50 Cent(50セント)をフックアップした系譜は、カルチャーの歴史を塗り替えた伝説的な実例として知られています。
日本のヒップホップシーンでも、こうした引き上げの歴史は脈々と受け継がれています。Zeebraが無名時代のラッパーを自らのプロジェクトや客演に積極的に招いてシーンの中核へと押し上げた事例や、BAD HOPが地元の後輩や同世代の才能を大規模フェスやメディアに引き入れた動き、さらにはAK-69や¥ellow Bucksといった世代を超えた共闘関係など、枚挙にいとまがありません。実力主義でありながらも、誰のフックアップを受けて世に出たかという「出自のストーリー」が、ラッパーのプロップス(評価や敬意)を強固にする重要なファクターとなっています。