塙町といえば「ダリアの町」として知られるが、それをまさかソフトクリームにしてしまうとは誰が想像しただろうか。券売機でチケットを買い、名物のダリアソフトを手にする。淡いピンク色のクリームを口に含むと、爽やかな酸味と高貴な花の香りがふわりと広がり、後味は驚くほどすっきりしている。香料で誤魔化した安っぽさは微塵もない。「試行錯誤を重ねて、花弁のペーストと地元産ミルクの黄金比にたどり着いたんです」。スタッフが誇らしげに語る笑顔が印象的だった。
物産館に足を踏み入れると、目を見張るのは野菜の品揃えと破格の価格設定だ。朝霧に包まれる塙町の肥沃な大地で育った高原キャベツ、泥付きの太いゴボウ、鮮やかなトマト。スーパーで並ぶそれとは、張りも重みもまるで違う。さらに惣菜コーナーには、地元のお母さんたちが毎朝手づくりする山菜おこわや特製の手打ち蕎麦が並び、昼前には完売の札が立つことも珍しくない。これぞ旅の醍醐味、胃袋を直撃するローカルガストロノミーの底力だ。