訪問を検討する多くの人が抱く最大の誤解は、「平日なら昼過ぎに行っても手挽き蕎麦が食べられるだろう」という楽観的な見積もりです。
手挽き石臼での製粉は、熟練の職人が全身の体重をコントロールしながら回し続けても、1時間でわずか数百グラムしか粉にできません。つまり、1日に仕込める「手挽きせいろ」の絶対数は物理的に決まっており、営業中に増産することは原理的に不可能です。取材データによると、開店からわずか30分から45分程度で手挽き分が完売し、以降は通常の二八せいろのみの提供へ切り替わるケースが常態化しています。
また、「電話で手挽き蕎麦を取り置きしておいてほしい」という要望もネット上で見られますが、原則として席や限定蕎麦の電話取り置きには対応していません。茹でたての最高の状態をその場で味わってほしいという店主の矜持があるため、店頭へ足を運んだ順に公平に提供されるシステムとなっています。ネット上の断片的な情報だけを鵜呑みにせず、「目当ての手挽きを確実に食すなら開店前の待機が鉄則」と心得ておくべきです。