中島みゆきの卓越した言語感覚は、北海道内でも名高い文教ルートで培われました。帯広市立帯広小学校、帯広市立第三中学校を経て進学したのは、十勝屈指の伝統校である北海道帯広柏葉高等学校です。同校は政財界や文化界に多くの傑物を輩出している進学校であり、フォークシンガーの吉田拓郎に影響を受けた彼女が本格的にギターを手にし、曲作りを始めたのもこの高校時代でした。
高校3年生の文化祭では、自作の楽曲をステージで披露し、周囲を驚かせたという逸話が残っています。当時の同級生が語る彼女の姿は、芯の強さを秘めつつも、決して自己主張を押し付けない聡明な女子生徒そのものでした。厳しい冬の寒さとどこまでも広がる地平線を持つ帯広の風土は、彼女の内に「孤独と向き合う力」を育んでいきました。
高校卒業後、彼女は故郷・十勝を離れ、札幌市北区にキャンパスを構える藤女子大学文学部国文学科へと進学します。カトリック系の名門女子大学として知られる同校で、彼女は日本の古典文学から近現代詩までを徹底して学びました。卒業論文のテーマには谷川俊太郎を選び、言葉の構造やリズム、メタファーの効用を学問的に掘り下げています。在学中にはフォークソング愛好会に所属し、「コンテスト荒らし」の異名を取るほど数々の音楽コンテストで圧倒的な歌唱力を誇示していました。