事件が発生したのは、ドラマのロケが大詰めを迎えていた1975年7月下旬の鹿児島ロケ期間中のことでした。打ち上げの酒席の後、松田優作が宿泊先のホテル付近で予備校生グループと口論になり、相手に暴行を加えて重傷を負わせてしまったのです。
報道各社の当時の取材記録によると、深夜の酒乱状態でのトラブルであり、相手の予備校生は全治数週間のケガを負いました。刑事ドラマで「正義の刑事」を演じる主演俳優が、現実世界で傷害事件の加害者として警察の取り調べを受け、書類送検されるという事態は、当時のメディアやスポンサーに計り知れない衝撃を与えました。
事件発覚直後、松田優作は芸能活動の全面自粛に追い込まれ、約1年間に及ぶ長期謹慎処分を受けることになります。撮影途中だったストック分の放送を消化しつつ、これ以上の追加撮影は断念せざるを得ず、制作の東宝と日本テレビは「第19話をもって番組を急遽終了させる」という苦渋の決断を下しました。主演の看板を失った刑事ドラマを継続させることは不可能だったのです。