東京ドームのスタンドに集うファン、そして二軍・三軍の本拠地である読売ジャイアンツ球場で汗を流す若手選手たち。それぞれの立場から見たFA補強のリアルな実態はどのようなものでしょうか。
長年ライトスタンドで声援を送る熱烈な巨人ファンは、次のように複雑な胸中を明かします。
「チームが勝つために強力な選手が来てくれるのはもちろん嬉しい。でも、人的補償でずっと応援してきた若手や生え抜きのベテランが突然いなくなる朝のニュースを見るたび、胸が張り裂けそうになる。プロテクトリストの発表時期は、補強のワクワク感よりも恐怖の方が勝ってしまうのが本音です」
一方、ファームでしのぎを削る若手選手にとっては、FA選手の加入は自らのポジションが塞がれることを意味する死活問題です。ある球団OBは手記の中で「FAで大物選手が入団してきたキャンプ初日、クラブハウスの空気が凍りついたのを覚えている。『自分たちの努力は何だったのか』と落ち込むか、『この大物を引きずり下ろしてやる』と奮起できるか。そのメンタリティの差が生き残りを分ける」と述懐しています。巨人の強さの源泉は、この極限の生存競争を受け入れられる組織風土にあるのです。