日本のプロ野球ファンの間で定期的に沸き起こるのが、「イ・スンヨプは将来、読売ジャイアンツや千葉ロッテマリーンズの指導者として日本球界へ復帰するのではないか」という待望論です。この噂が根強く囁かれ続ける背景には、単なるファンのノスタルジーにとどまらない3つの構造的要因が存在します。
第1に、巨人首脳陣との極めて強固な人的ネットワークです。現役時代に4番・5番を組んだ阿部慎之助監督とは今なお連絡を取り合う盟友関係にあり、原辰徳前監督をはじめとする歴代首脳陣からも人格面を含めて絶大な信頼を寄せられています。春季宮崎キャンプへの臨時コーチ招聘や親善試合での交流など、巨人サイドは常に李承燁に対して門戸を開き続けてきました。
第2に、日韓両国の打撃理論を言語化できる希少性です。日本人特有の緻密な配球論と、韓国打者特有の強靭なリストワーク・下半身主導のスイングをハイレベルで体得している指導者は、アジア全体を見渡しても極めて少数です。長打力不足に悩む日本の球団にとって、彼の打撃理論は喉から手が出るほど魅力的なリソースとなっています。
しかし、現時点での日本球界即時復帰の可能性は極めて低いと見るのが取材現場の一致した見解です。韓国球界関係者の証言によると、李承燁は自らの使命として「韓国球界の底上げと次世代スターの育成」を最優先事項に掲げています。将来的なNPBキャンプでの臨時指導や日韓親善試合でのゲスト参加といった形での関わりは十分に考えられるものの、フルタイムのコーチや監督として日本へ移籍するには、韓国側での監督キャリアを完全にやり遂げることが大前提となります。