『傷だらけの天使』伝説の深層|最終回結末と代々木会館の現在を追う

『傷だらけの天使』伝説の深層|最終回結末と代々木会館の現在を追う

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数ある名作エピソードの中でも、昭和テレビ史最大のトラウマにして至高の傑作と評されるのが、最終回(第26話)「祭りのあとにさすらいの日々を」(工藤栄一監督)の結末です。

物語の終盤、アキラは重度の肺炎を患い高熱にうなされます。まともな金もなく、病院に連れていくことすらできない修は、綾部情報社にすがり金策に奔走しますが、非情にも切り捨てられます。修が必死に手に入れた薬を持ってペントハウスへ駆け戻ったとき、すでにアキラは冷たい骸となっていました。アキラの遺体を抱きしめ、号泣する修の絶望は観る者の胸を締め付けます。

そして訪れる、あまりにも凄絶な幕切れ。修はアキラの亡骸を毛布でくるんでリヤカーに乗せ、東京湾の埋め立て地である夢の島(ゴミ処理場)へと向かいます。悪臭と蠅が飛び交うゴミの山の中にアキラの遺体を横たえ、周囲のゴミをかき集めて覆い隠す修。墓標すら立てず、立ちこめる煙とゴミの山を背に、一人無言で歩み去っていく修の後ろ姿でドラマは静かに幕を閉じます。

公的機関にも頼れず、社会の最底辺に生きる者たちが迎えた残酷な結末。仲間を埋葬する場所すらなく、ゴミとして処理せざるを得ない修の孤独な選択は、右肩上がりの経済成長の裏で切り捨てられていった者たちの「魂の鎮魂歌」として、今なお視聴者の心に深い爪痕を残しています。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。