本作の魅力を語る上で欠かせないのが、実力派俳優陣が織りなす絶妙な人間関係のグラデーションです。単なる二者間の恋愛にとどまらず、周囲を取り巻く大人たちの視線がリアリティを支えています。
大河内麻紀(演:倉科カナ)は、35歳の大手インテリアメーカー勤務。仕事は誠実で料理の腕前もプロ級ですが、過去の失恋のトラウマから10年間彼氏がおらず、すっかり「恋の仕方」を忘れてしまった女性です。倉科さんは制作発表会見で「麻紀の臆病さや、一歩踏み出せない気持ちは同世代として痛いほど共感できた」と振り返っており、等身大の葛藤を見事に体現しました。
対する本宮蒼太(演:菊池風磨)は、麻紀の隣の部屋に暮らす25歳の新進気鋭グラフィックデザイナー。人懐っこい笑顔で麻紀の手料理を豪快に平らげる一方で、恋愛においては恐れを知らない肉食系の顔を覗かせます。菊池さんは持ち前のクレバーな表現力で、年下特有の甘えと男らしい色気という二面性を鮮やかに演じ分けました。
さらに、麻紀に密かな好意を寄せるスマートな上司・篠原一義(演:高橋光臣)、蒼太の過去を知る憧れの先輩デザイナー・神野沙織(演:市川由衣)、そして麻紀の良き理解者である親友・町田桜(演:山田真歩)らが脇を固めました。落ち着いた大人の包容力を持つ篠原と、本能でぶつかってくる蒼太との対比が、麻紀の揺れる心に一層の深みを与えています。