名物の「もつ焼き」を頼む際、初心者にとって最初の関門となるのが独特の注文システムだ。基本は一皿4本縛り。部位の指定に加え、味付けを「タレ」「塩」「辛タレ」「味噌」から選び、さらに「レモン」や「ミツバ」などの薬味の有無を瞬時にコールする。
「シロを辛タレで、レモン入れて」。常連の澱みない発声に厨房が即座に呼応する。大ぶりで鮮度抜群のモツは、外側がカリッと香ばしく、内側からは上質な脂がじゅわりと溢れ出す。仕込みの丁寧さがそのまま食感の軽やかさに直結している証拠だ。
そして、この絶品串に合わせるべき絶対王者が「特製ハイボール」だ。一般的なウイスキーソーダとは異なり、下町特有の焼酎ハイボール(通称ボール)に、店秘伝のエキスとレモンピールがひと搾り落とされている。淡い琥珀色の液体から立ち上る柑橘の爽快感と、下町の甲類焼酎のキレ味が、濃厚なモツの脂を驚くほど綺麗に洗い流す。