ヨーロッパ、ことにフランスにおいてジビエ(Gibier)は、貴族の狩猟文化とともに磨かれてきた歴史深い食糧資源である。狩猟解禁となる秋から冬にかけて、ハンターが山に入り獲物を仕留める。その命を無駄にせず、余すことなく美味しくいただく精神がそこには深く根付いている。
日本で代表的なジビエといえば、シカ肉(ヴェニソン)とイノシシ肉(ボア)の2つだ。前者は脂分が極めて少なく、滑らかな赤身の質感と品のある風味が特徴。後者は冬場になるとしっかりとした上質な甘い脂を蓄え、噛むほどに深いコクが溢れ出す。さらに鴨や雉(キジ)、ハトといった野鳥類もジビエに含まれ、それぞれが育った土地の風土がそのまま肉質に反映されるのが醍醐味といえる。