世界中で社会現象となったGIP/GLP-1受容体作動薬の熱狂は、衰えるどころかさらに加速している。皮下注射剤として登場した「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」および肥満症適応の「ゼップバウンド」は、従来のGLP-1単独製剤を上回る体重減少効果を示し、臨床現場の常識を覆した。
特に注視すべきは、単なる美容や減量にとどまらない適応拡大の動きだ。睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪肝炎(MASH)、さらには心血管疾患リスクの軽減に至るまで、多角的なエビデンスが次々と発表されている。医療関係者の間では、これらの薬剤が将来的に国家レベルの医療費削減に寄与するのではないかという議論すら起きている。
しかし、爆発的すぎる需要は常に増産体制との追いかけっこだ。世界的な在庫不足を解消するため、主要製造拠点の24時間フル稼働が続く。主要国での承認と保険適用が進むにつれ、その供給グリッドをどう維持するかが最大の課題であり続けている。