九州のラーメンと聞くと、多くの人が白濁した濃厚豚骨と極細のバリカタ麺を連想するだろう。だが、鹿児島・天文館で提供される一杯はそのイメージを心地よく裏切ってくれる。まず席に着くと、注文を待つ間に小皿で運ばれてくるのが自家製の「大根のたくあん」や浅漬けだ。この独自のサービスこそ、鹿児島ラーメンの象徴的なプロトコルである。
ポリポリとたくあんを味わいながら待つこと数分。運ばれてくる丼には、博多とは異なり、やや太めのストレート麺や中太麺が泳ぐ。スープは豚骨の旨味がしっかりありながらも後味が軽やかで、炒めたキャベツやシャキシャキのモヤシがたっぷりと盛られている。この「具材の豊かさ」と「食感のコントラスト」こそが、天文館の街で独自に花開いたラーメン美学の真骨頂と言える。