全国的にチェーン展開する均一化されたカフェが街を覆い尽くす現代において、個人の美学に基づき維持されてきた独立系喫茶店の存在感は増すばかりだ。都市計画や経済効率の波に呑まれず、独自のアイデンティティを守り抜いてきた空間は、今や名古屋という都市が世界に誇るべき文化的遺産と言っても過言ではない。
建築家やデザイナー、文化人たちがこの店を高く評価し続けるのは、単に古き良きものを残しているからではない。時代が変わっても揺らぐことのない「質の高さ」を絶えず更新し続けているからに他ならない。古びるのではなく、年月に磨かれて深みを増すヴィンテージ家具のような価値がここには宿っている。