芸能界を引退後、彼女が情熱を注ぎ続けてきたのがキルトアートの世界である。時間をかけて小さな布片を縫い合わせ、一枚の大きな作品へと仕上げる作業。それは、多忙を極めたアイドル時代には持ち得なかった、時間を慈しむ創作のひとときでもあった。
自身の作品展などで提示される針仕事の精密さと色彩感覚は、専門家からも高く評価されている。作品の中に込められた繊細な意図と温もり。布の一針一針に刻まれているのは、家庭を守り、子どもたちを育て上げた母としての時間であり、一人の表現者としての静かな自己対話にほかならない。