河津左衛子を語る上で欠かせないのが、日本映画史に大きな足跡を刻んだ家族構成です。
父の河津清三郎は、戦前から戦後にかけて時代劇・現代劇を問わず主役・敵役として圧倒的なカリスマ性を誇った大スター。黒澤明監督の名作『用心棒』や数多の任侠映画で放った重厚な演技は、今なお語り草となっています。
そして実兄は、松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手・大島渚監督の『青春残酷物語』(1960年)で主演を務め、一躍トップスターとなった河津祐介です。兄・祐介はテレビドラマ『Gメン'75』の響圭介刑事役などでも国民的な人気を博しました(2021年逝去)。
家庭内では厳格な芸道教育がなされる一方で、互いの出演作を認め合う強い家族愛があったと伝えられています。偉大な父の背中を追い、兄妹揃って昭和の映画史にその名を刻んだ事実は、日本の芸能史においても稀有なエピソードといえます。