「宇宙ステーション『きぼう』はなぜあんなにも明るく見えるのか」という疑問を抱く方は少なくありません。その答えは、自ら光を放つエンジンの炎や機体の照明ではなく、巨大な機体構造と太陽光の反射にあります。
ISS全体のサイズは、両翼の太陽電池パドルを含めると約109メートル×73メートルに及び、サッカー場が上空を丸ごと飛んでいるような規模を誇ります。この広大なシリコンパネルやアルミニウム合金のモジュールが、地上から400キロメートル離れた宇宙空間で強烈な太陽光を浴び、まるで巨大な鏡のように地上へ反射しているのです。
ただし、いつでも光って見えるわけではありません。肉眼で観測できるのは、地上はすでに夜(または夜明け前)の影に入っている一方、高度400キロメートルの上空にはまだ太陽光が燦々と降り注いでいるという、絶妙な幾何学的条件が揃う夕暮れ直後と日の出前の数十分間に限られます。真夜中になるとISS自体も地球の影(本影)に入り込んでしまうため、光が届かず姿を消してしまいます。
明るさは条件次第でマイナス2等級からマイナス3等級に達し、夜空で最も明るい一等星シリウスを凌駕し、宵の明星と呼ばれる金星に匹敵する光度を放ちます。しかも、時速約27,700キロメートル(秒速約7.7キロメートル)という猛スピードで飛行しているため、頭上を通過する時間はわずか3分から6分程度。航空機のように赤や緑の衝突防止灯がチカチカと点滅することはなく、澄んだ白色や黄金色の強い光が滑るように天空を直線移動していくのが特徴です。