ブラックエンペラーの起源は、1960年代末期に東京・世田谷区の下北沢や深沢界隈で結成されたモーターサイクルクラブに遡ります。初期メンバーの多くは、当時としては高価だった大型二輪車を乗り回す良家の子息やカーマニアたちでした。
初代総長を務めた蛯名賢一氏は、単なる不良グループの集まりではなく、徹底した規律と美学を持つ組織体制を構築しました。黒地に白の刺繍を施した旗、そして白の特攻服に「卍」の腕章という視覚的インパクトは、夜の幹線道路で圧倒的な威容を放ちました。
当時の関係者の証言によると、黎明期のブラックエンペラーは暴力行為そのものを目的とするのではなく、集団走行時の隊列美やスピードに対する純粋な追求が主眼に置かれていました。しかし、1970年代半ばにかけて他地域の対立グループとの抗争が激化するにつれ、組織は急速に戦闘的な性格を強めていきます。