今、食の世界で空前の注目を集めるこの製法は、一言で言えば「完全な無酸素状態で行われる密閉型発酵」である。収穫した果実をそのまま二酸化炭素で満たしたタンクへ閉じ込め、果皮の内側で酵素分解を進行させる。細胞内発酵とも呼ばれるこの現象によって、果汁は通常の発酵工程では得られない劇的な風味変化を遂げるのだ。
果実特有のえぐみやタンニン由来の渋みが抑えられ、代わりに明るく華やかなアロマと澄み切った甘味が前面に現れる。舌の上で踊るような透明感のある酸味と、洋梨や泡盛を思わせる立体的なフレーバー構成は、ひと口含んだだけで飲む者の味覚を支配する。まさに発酵が生み出す魔法だ。