単なる筆記具の域を超え、手に取れる美術品として海外のコレクターを熱狂させているのが、会津塗りや出雲の伝統工芸を惜しみなく注ぎ込んだ工芸万年筆のラインナップだ。熟練の職人が何重にも漆を塗り重ね、金粉を蒔いて繊細な絵柄を描き出す工程には、数ヶ月から数年の年月が費やされる。
持続可能なラグジュアリーが叫ばれる昨今、天然素材である漆の防虫・抗菌作用や、使うほどに艶を増す経年変化の美しさが再評価されている。欧米のオークションや専門フェアでは、日本の伝統美を宿したこれらのペンが高値で取引されており、文化財としての価値すら帯び始めている。