大々的なオーディション番組や大手のバックアップによる派手なお披露目を経ていないことが、彼女の神秘性をいっそう際立たせている。キャリアの初期において彼女が選んだのは、脚本の質と作家性のみを頼りにするインディペンデント映画の現場だった。限られた予算と時間の中で、人間の割り切れない機微を生々しくすくい取る作品群に出演し、ミニシアターの観客たちの間で口コミが自然発生的に広がっていった経緯がある。
「カメラが回っていないときでも、彼女の周囲だけ流れる時間が違って見えた」と、初期の短編を手掛けた監督は述懐する。多くを語らず、自身のパーソナリティを安売りしないストイックな姿勢。そのミステリアスな佇まいこそが、観る者に「この俳優は誰なのか」という強烈な飢餓感を植え付けた原点と言えるだろう。