本作が他の王道青春映画と一線を画す最大の要因は、あのあまりにも美しく切ない結婚式のラストシーンにある。真愛が選んだ相手は、浩介ではなかった。10年越しの再会が「かつて愛した人の結婚式」という残酷なシチュエーションで訪れる。
新郎に対して「花嫁にキスをしたければ、まず自分にキスをしろ」という余興の条件が出された瞬間、浩介は迷わず新郎に飛びつき、狂おしいほどのキスを交わす。あの衝撃的な行動の裏にあったのは、ふざけた悪ノリではない。新郎を通して真愛へ捧げた、生涯最初で最後の純粋な愛の告白だった。
そして映像は、浩介の脳内に広がる「もしもの世界(パラレルワールド)」へと切り替わる。もし雨の日の大喧嘩で引き返して真愛を抱きしめていたら、もし素直に好きだと伝えていたら――。二人が結ばれていたかもしれない無数の分岐点が走馬灯のように駆け巡る。しかし、現実は変わらない。浩介はその幻想を抱きしめながら、彼女の幸せを心から祝福して微笑む。これこそが、少年が本当の意味で「大人」へと脱皮した決定的な瞬間だったのだ。