浜松の食を語る上で決して外すことができないのが、明治創業の老舗として知られる株式会社自笑亭の存在だ。長年にわたり駅構内で旅人に寄り添い続けてきた同社は、伝統の味を守りつつも現代のニーズに合わせた工夫を積み重ねてきた。その代名詞とも言えるのが、ふっくらとした肉厚の鰻を贅沢に盛り付けた「うなぎ弁当」である。
秘伝のタレを何度もくぐらせて香ばしく焼き上げられた鰻は、冷めても柔らかく、米粒一つひとつに旨味がしっかりと染み込んでいる。車内で重箱風の蓋を開けた瞬間に広がる芳醇な香りは、周囲の乗客の視線を惹きつけてやまない。職人のこだわりが詰まったこの味わいは、まさに長年愛され続けてきた本物ならではの説得力を持っている。