SNSやネット掲示板などでは、「一張羅という言葉はもう死語なのではないか」「若い世代には通じない」という声が定期的に話題に上がります。文化庁が過去に実施した国語に関する世論調査の傾向や現代の言語環境を踏まえると、興味深い実態が見えてきます。
20代以下のデジタルネイティブ世代においては、「ワードローブ」「お気に入り」「推し服」といったカタカナ語への置き換わりが進み、日常的に自発して使う頻度は確かに減少傾向にあります。しかし、完全な死語となったわけではありません。
むしろ近年では、ファストファッションの大量消費から距離を置き、「本当に上質で仕立ての良い1着を長く愛用する」というエシカルファッションやミニマリズムの文脈において、「私の現代版一張羅」といった形で再定義され、ポジティブに使われるケースが増加しています。言葉そのものは古典的ながら、その根底にある「量より質を尊ぶ美学」は、令和の若年層の間でも共感を呼んでいます。