会津若松市栄町に店を構える「会津わっぱ飯 田季野」は、料理の味だけでなく、その風情ある空間自体が訪れる者を魅了します。店舗の建物は、会津西街道の宿場町・糸沢宿にあった築200年以上の旧家「陣屋(名主の館)」を移築復元した重厚な数寄屋造りです。太い梁や囲炉裏、磨き上げられた黒光りする床が、訪れる人を往時の会津へと誘います。
田季野の看板メニューとして絶大な人気を誇るのが田季野 五種輪箱飯です。器の中に美しく配置されているのは、以下の厳選された具材です。
- ぜんまい:会津の山深くで採れた極太の山菜を、出汁で丁寧に炊き上げたもの
- 鮭(さけ):旨味の凝縮した塩鮭のほぐし身
- 蟹(かに):風味豊かな蟹の身
- 椎茸(しいたけ):甘辛く煮含められた肉厚な原木椎茸
- 錦糸卵:彩りを添えるふんわりとした自家製卵焼き
会津は内陸部でありながら、江戸時代から越後(新潟)や浜通りを結ぶ街道を通じて塩引き鮭などの海産物が運ばれ、保存食として重宝されてきた歴史があります。山の恵みである山菜や茸と、海の恵みである鮭がひとつの曲げわっぱの中で調和しているのは、会津の食文化の変遷そのものを物語っています。