このチェーンの出自を語る上で欠かせないのが、カラオケ事業大手の株式会社第一興商である。1989年、カラオケBOX「BIG ECHO」で業界を牽引していた同社が、新規事業の柱として立ち上げたのがこの牛丼事業だった。音楽・エンターテインメントの巨人が、なぜ畑違いのファストフード業界に足を踏み入れたのか。
当時の日本はバブル景気の絶頂期。深夜におよぶ歓楽街の喧騒と、24時間働くサラリーマンたちのエネルギーに満ち溢れていた。カラオケで声を張り上げた客が、そのまま締めの飯を求めて駆け込む。そんな都市の動線を巧みに見越した出店戦略こそが、すべての始まりだった。都心の主要駅前一等地を中心に展開された店舗は、夜の街を歩く人々にとって格好の「胃袋の駆け込み寺」となったのである。