「熱を通せば菌は死ぬから大丈夫」と考え、加熱調理を選択する人は少なくありません。レシピ検索サイトのクックパッドなどでも、期限が切れた食材を活用する炒め物や煮物の工夫が見られます。しかし、食品衛生学の観点から言えば、熱を加えることだけが完全な万能薬になるわけではありません。
食品衛生管理者が警告するように、細菌の中には加熱によって死滅するものがある一方で、増殖の過程で熱に強い耐熱性毒素を生み出す種類も存在します。たとえば黄色ブドウ球菌などが産生する毒素は、100℃で加熱しても破壊されません。したがって、すでに悪臭やぬめりが生じるほど劣化が進んだものは、いくら長時間煮込んでも食中毒のリスクを消し去ることはできないのです。未開封で臭いや外観に一切異常がない場合を除き、過信は禁物です。