ひとくちに魚卵といっても、タラコやイクラとは全く異なる。マグロの卵粒は非常に微細で、舌触りは驚くほどなめらかだ。フォアグラや上質なレバーにも通じる深いコクがあり、噛み締めるほどに濃厚なアミノ酸の旨味がじわりと広がる。かつてグルメ漫画『美味しんぼ』でも究極の味覚の変奏として魚卵の奥深さが描かれたが、マグロの卵が持つ潜在能力はその描写すら凌駕するほどの迫力を持つ。
栄養面においても、驚くべき数値を秘めている。DHAやEPAといった高度不飽和脂肪酸はもちろん、ビタミンEや鉄分、亜鉛などのミネラルが凝縮されている。ただ濃厚なだけではない。海の生命力をそのまま凝縮したかのような力強い滋養が、この巨大な卵には詰まっている。