宛先(TO)やCC(Carbon Copy)とBCCを隔てる壁は、通信プロトコルのヘッダー処理にある。1970年代初頭に電子メールの原型を考案したレイ・トムリンソン以降、メッセージングの規格はめまぐるしく進化を遂げた。現在の基礎を成すインターネット・エンジニアリング・タスク・フォース (IETF) によるRFC 5322標準化プロジェクトの仕様書を開けば、その構造は一目瞭然だ。
CCで送信されたメールは、メッセージのヘッダー情報にすべての受取人アドレスが平文で記録される。受信者全員が「誰に共有されているか」を相互に確認できる仕組みだ。これに対してBCCは、送信側のメールサーバーが受取人宛てに配送する段階で、メッセージヘッダーからBCCフィールドの値を削ぎ落とす。つまり、受け取った側には「自分以外の誰に届いたか」が見えない。この不可視性こそが、BCCが持つ唯一無二の特性である。