そもそも、このカルチャーはどこから始まったのか。発端は2008年、アメリカのブロガーであるジェナ・カルヴニディス氏が、自身の流産を乗り越えた妊娠を祝うためにピンクのフロスティングを挟んだケーキを家族に振る舞ったことだった。彼女のブログ投稿は瞬く間に拡散され、世界規模のメガトレンドへと成長していく。
しかし、ブームの過熱とともに思わぬ影も生じた。海外では爆発物を用いた演出が大規模な山火事を引き起こす事故が発生。さらに「ピンク=女、ブルー=男」という二元論的な色分けが、子どものアイデンティティを狭めてしまうのではないかという議論も巻き起こった。ナショナル ジオグラフィック ドキュメンタリー『ジェンダー・レボリューション』が浮き彫りにしたような、現代におけるジェンダー観の多様化と深い洞察は、このパーティーのあり方にも確実に影響を与えている。
発案者であるジェナ・カルヴニディス氏自身も後年、性別の枠組みにとらわれない柔軟な祝祭のあり方を提唱した。過剰な仕掛けを競い合う時代は終わり、命の誕生そのものを純粋に慈しむ原点回帰の空気が、現代のセレブレーションを優しく包み込んでいる。