若き日の相棒スティーブ・ウォズニアックと共に、カリフォルニア州ロスアルトスの粗末なガレージから始まった挑戦。技術の天才であったウォズニアックに対し、ジョブズは「目に見えない未来の価値」を信じ込ませる稀代の演出家だった。「墓場で一番の金持ちになっても意味はない」という有名なセリフは、富そのものへの執着ではなく、後世に何を残すかという切迫感から生まれている。
二人の関係は常に緊張を孕んでいた。ウォズニアックの純粋なエンジニアリング精神と、ジョブズの妥協なき美意識の衝突。その摩擦熱こそが、初期のパーソナルコンピュータ革命を加速させる火種となったのだ。完璧を求めすぎるあまり周囲を疲弊させたジョブズのリーダーシップは、決して聖人君子のものではない。しかし、彼が放つ言葉の熱量は、関わる者すべてを非日常的な高みへと引きずり込んだ。