「朝から晩までコンバインを動かしても、燃料代と資材費を引いたら手元にほとんど残らない。これ以上米価を叩かれたら、来年はもう作付を諦めるしかない」
新潟県下の穀倉地帯でメガファームを営む50代の生産者は、乾いた表情でそう吐露しました。一方で、都内のスーパーに足を運べば、「5キロ3,000円超えが当たり前になり、育ち盛りの子どもに満足にご飯を食べさせられない」という子育て世代の悲鳴がX(旧Twitter)や各種SNSを埋め尽くしています。この生産現場と消費者の深刻な乖離こそ、ネットの反応と世論が最も過熱している震源地です。
農林水産省の最新方針は、明確に「生産資材コストを適切に価格へ転嫁する仕組みの法制化」へと舵を切っています。これまでの日本社会は、過度な安売り競争によって農家の自己犠牲に甘え続けてきました。農水省が打ち出した指針では、加工食品メーカーや流通大手に対し、原材料高騰分を卸値および小売価格に反映するよう促すガイドラインを強化し、悪質な買いたたきに対しては監視の目を強めています。
さらに、政策の根幹を支える食料安全保障政策においては、輸入途絶を想定した「食料供給困難事態対策法」の実働体制が整備されました。政府が食料危機と判断した場合、農家に対して指定作物の増産を指示できる制度ですが、これには「強制力を持たせるならば相応の所得補償が不可欠だ」という現場の反発も根強く、農水相は極めて繊細な舵取りを強いられています。