日本国内における『アリス・イン・ワンダーランド』を語る上で避けて通れないのが、女優の深田恭子さんが担当した白の女王の日本語吹き替え版です。著名人の声優起用には常に賛否がつきまとうものですが、本作のキャスティングに対する世間の受け止めは、時間の経過とともに興味深い変化を遂げました。
劇場公開当初、一部のアニメファンや映画評論家からは「声の抑揚が平坦である」「本職の声優に比して台詞の滑舌が甘い」といった批判的な声が上がったのは事実です。しかし、DVDや地上波テレビ放送、そして動画配信サービスが普及するにつれ、SNS上では評価が劇的に好転していきました。
「深キョンの少し舌足らずでウィスパーがかった声質が、白の女王の持つ浮世離れした狂気に完璧にマッチしている」「アン・ハサウェイの不自然な優雅さを、深田恭子の声が見事に増幅している」といった、役柄との親和性を絶賛する声が主流を占めるようになったのです。端正な美貌の裏に底知れぬミステリアスさを秘めた深田恭子さんのパーソナリティは、アン・ハサウェイが体現した白の女王の歪な魅力と奇跡的なシンクロを果たしていたと言えます。