外食産業の統計データおよび主要飲食店グループのIR資料を調査すると、高級焼肉店やステーキハウスにおけるディナー客単価は1人あたり12,000円〜18,000円へとシフトしています。これに対し、ランチタイムの客単価は1,300円〜2,200円前後に設定されているケースが多く、この価格差こそが肉ランチ市場を牽引する最大の原動力です。
取材に応じた老舗肉問屋の幹部は次のように内情を明かします。「ディナーで提供する高級部位のブロック肉を成形する際、どうしても重量の15%〜20%ほど『形が不揃いな端肉』が出ます。品質自体は夜の特上カルビやサーロインと同等のA4・A5ランクでありながら、ランチの切り落とし定食や限定ハンバーグに回すことで、廃棄ロスを防ぎつつ圧倒的な低価格を実現できるのです」。
このように、店舗側にとってはフードロス削減と新規顧客の開拓という明確な経営ロジックが存在し、消費者にとっては手軽な予算で極上の旨味を堪能できる「共存共栄の仕組み」が確立されています。