公開から長い年月を経た現在、SNSや大手映画レビューサイト(Filmarks、映画.com、Reddit等)ではどのような評価が下されているのでしょうか。実際の視聴者の声を精査すると、古典的名作ならではの圧倒的な称賛とともに、現代ならではの議論が見受けられます。
ネット上の生の声を見ると、「ホラー映画かと思って敬遠していたが、一級の知性派サスペンスだった」「暴力描写を直接見せるのではなく、会話と間合いだけでここまで底知れぬ恐怖を演出できるのが凄い」といった、演出技術の高さを評価する声が圧倒的多数を占めています。
一方で、現代のジェンダー観から生じる誤解についても触れておく必要があります。劇中の犯人バッファロー・ビルについて「トランスジェンダーを偏見に基づいて描いているのではないか」という批判がネット上で散見されますが、これは作品内の重要な対話を読み落とした誤解です。劇中でレクター博士自身が明確に指摘している通り、「彼は真のトランスジェンダーではない。自らのアイデンティティへの激しい自己嫌悪と憎悪から、変身という逃避を試みているに過ぎない」と劇中で明言されています。ハリスの原作と映画は、アイデンティティの混乱と病的な変身願望を意図して描き分けているのです。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
本作は映画史上の最高傑作のひとつですが、すべての観客に無条件で勧められるわけではありません。鑑賞前の判断基準を以下に提示します。
【鑑賞を強くおすすめする人】
- 心理サスペンス、緻密なプロファイリング捜査、重厚な人間ドラマを好む方
- 映像の構図、視線誘導、カメラワークなど映画制作の高度な技法に興味がある方
- アンソニー・ホプキンスとジョディ・フォスターによる演技の極致を体感したい方
【鑑賞に慎重になるべき人】
- 遺体の検死シーンや皮剥ぎといった直接的・間接的な猟奇的モチーフに強い抵抗感がある方
- 明快なアクションや派手なカーチェイスなど、スピーディーな娯楽性を求めている方
- 後味の良さや、完全に白黒がついた爽快なカタルシスを好む方