脱髄が中枢神経で生じるか、末梢神経で生じるかによって現れる病気は大きく異なります。その代表例が「多発性硬化症」と「ギラン・バレー症候群」です。
脳や脊髄の髄鞘が標的となる多発性硬化症の症状は多岐にわたります。視神経の脱髄による視力低下や視野の欠損、手足のしびれ、歩行困難、激しい疲労感などが典型的です。症状が再発と寛解(一時的な回復)を繰り返す特徴があり、発症部位によって現れる障害が時間的・空間的に多発するためこの名が付けられています。
一方で、末梢神経の髄鞘が急性自己免疫攻撃を受けるのがギラン・バレー症候群です。風邪や下痢といった感染症から1〜2週間後に発症することが多く、手足の先に力が入らなくなり、急速に全身へと運動麻痺が広がります。重症化すると呼吸筋が麻痺し、人工呼吸管理が必要になるケースもあります。