伊香保温泉のメインストリートである石段街は、最下段から最上段の伊香保神社まで全365段の階段が一直線に伸びています。中央の石段には「小間口(こまぐち)」と呼ばれる木製の分水樋が埋め込まれており、ガラス張りの小窓から茶褐色の源泉が勢いよく流れる様子を観察できます。
石段街の中腹(およそ212段目付近)に位置するのが、創業天正4年(1576年)の老舗・岸権旅館が運営する無料の足湯「辰の湯」です。石段散策で心地よい疲労を覚えた足を浸せば、鉄分を豊富に含む「黄金の湯」特有の柔らかな温もりがじんわりと身体を包み込みます。タオルの持参を忘れないことが、スムーズに足湯を楽しむための基本ルールです。
足湯でひと息ついた後は、温泉街名物の伊香保石段街の射的で昔懐かしい遊技体験に興じるのが王道ルートです。「大黒屋」や「つたや」など、のれんを掲げる遊技場にはコルク銃が並び、大人も子どもも夢中になって的を狙う歓声が響き渡ります。デジタルな日常から離れ、昭和の温泉街にタイムスリップしたかのようなアナログな楽しさがここにあります。
そして365段を登りきった先に鎮座するのが、格式高い伊香保神社です。医療や温泉、子宝・縁結びの神として知られる大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)を祀っており、登頂の達成感とともに厳かな空気の中で参拝することができます。さらに神社の奥へと歩を進めると、朱塗りの太鼓橋が美しい河鹿橋が現れます。新緑の初夏や紅葉の秋はもちろん、季節ごとに実施される河鹿橋のライトアップは、夜の温泉街散策におけるハイライトとなっています。