バンドの現在地を語る上で避けて通れないのが、2022年3月25日、南米ツアー先のコロンビア・ボゴタのホテルで起きた盟友テイラー・ホーキンス(Taylor Hawkins)の急逝です。享年50。デイヴ・グロールが「相棒であり、双子の兄弟であり、人生の伴走者」と公言して憚らなかった不世出のドラマーの死は、バンドを一度は完全に瓦解寸前へと追い込みました。
追悼コンサートでの涙の激奏を経て、2023年にリリースされたアルバム『But Here We Are』は、デイヴが自らの母とテイラーという「最愛の二者を同時に失った grief(深い悲哀)」を余すところなく刻み込んだ魂の叫びでした。そして、空席となったドラムスツールを託されたのが、スタジオセッション界の生ける伝説、ジョシュ・フリーズ(Josh Freese)でした。
ナイン・インチ・ネイルズ、ディーヴォ、ガンズ・アンド・ローゼズ、A Perfect Circleなど錚々たるバンドを支えてきたジョシュの手腕に対し、加入当初は「テイラーの唯一無二の華やかさとカリスマ性を埋められるのか」という懐疑的な視線も少なくありませんでした。しかし、現場のライブを観たファンとメディアの評価は一変します。
テイラーが持っていた野性味溢れるグルーヴと高音コーラスに対し、ジョシュのドラミングはミリ秒単位でタイトな打撃力、冷徹なまでの正確無比なリズムキープ、そして楽曲のダイナミクスを何倍にも引き上げる圧倒的なフィジカルを誇ります。5ちゃんねるの洋楽板やX(旧Twitter)上でも、「テイラーへの敬意を胸に抱きつつ、バンドの強度がメタル級に跳ね上がった」「デイヴがジョシュのビートに全幅の信頼を置いて前線でシャウトしている」と、新体制の完成度は極めて高い支持を獲得しています。