宇和島銘菓「大番」はなぜ愛され続けるのか?文豪小説に隠された誕生秘話と真相

宇和島銘菓「大番」はなぜ愛され続けるのか?文豪小説に隠された誕生秘話と真相

宇和島銘菓「大番」はなぜ愛され続けるのか?文豪小説に隠された誕生秘話と真相とはどのようなものなのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。

文学界と映画界で社会現象を巻き起こした『大番』は、やがて四国・愛媛の地で、現在も愛され続ける銘菓へと結実します。その舞台となったのが、伊達十万石の城下町として知られる愛媛県宇和島市です。獅子文六は『大番』を執筆する際、主人公の故郷の情景を肌で感じるため宇和島に長期滞在し、地元の人々と温かい交流を重ねました。

その滞在中に文豪と深い親交を結んだのが、宇和島の老舗和洋菓子舗「つるや本舗」(昭和28年/1953年創業)の初代店主でした。小説が空前の大ベストセラーとなり映画化が進むなか、「小説の息吹をそのまま形にした、宇和島ならではの新しい銘菓を作れないか」という熱意から開発がスタートしたのです。

獅子文六自身から直筆の題字と「大番」の名称使用を託されたつるや本舗は、試行錯誤の末に和洋折衷の画期的な菓子を完成させました。ふんわりと焼き上げたカステラ風のスポンジ生地に、地元特産の風味豊かな柚子を練り込んだ白餡をサンド。さらに表面には細かく砕いたカステラ生地と砂糖をそぼろ状にしてまぶし、焼き上げるという手間暇かけた職人技が注ぎ込まれています。口に含んだ瞬間に広がる爽やかな柚子の香りと、そぼろのサクッとした食感、そしてしっとりした白餡の調和は、地方創生菓子のはしりとして全国菓子大博覧会でも高い評価を受け、半世紀以上にわたる宇和島土産の金字塔となりました。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。