「強欲」という言葉は、一般的に利己的でネガティブなニュアンスを伴います。ところが龍水の手にかかれば、それは停滞した世界を前へ推し進める最大のエネルギーへと姿を変えます。自身の代名詞とも言える高笑い「はっはー!」とともに放たれる言葉の数々は、周囲の人々の心に眠る情熱に火をつけてきました。
「欲しい=悪じゃない。欲しいと願うからこそ人類は進歩してきた」――この哲学こそが、龍水が誰からも嫌われない真の理由です。彼は他人の取り分を奪うのではなく、パイそのものを巨大化させて全員で分け合うことを目指します。美食が食べたいからと超一流のパンを焼き上げさせ、空を飛びたいからと気球を自作し、美女を喜ばせたいからと服飾文化を復興させる。その尽きることのない欲求は、常に科学王国全体の生活水準を劇的に引き上げる結果を生み出しました。
傲慢に見えて仲間一人ひとりの長所を正確に見抜き、対等な敬意を払う度量の広さ。欲望にどこまでも忠実でありながら、卑怯な手段を一切嫌う清々しい高潔さこそが、読者の心を掴んで離さない最大の武器です。