『破』の惨劇から14年後の世界を描いた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』において、アスカは左目に黒い眼帯を装着して再登場しました。ファンの間で「単なる外傷なのか、使徒の影響なのか」と議論が紛糾したこの謎は、完結編でついに白日の下に晒されます。
眼帯の内部には、小型の封印柱が突き刺さっていました。第9の使徒のコアおよび残滓は完全に消滅しておらず、アスカの左目奥の生体組織と一体化していたのです。肉体年齢が14歳のまま停止し、頭髪以外の老化が起こらず、睡眠も食事も不要となった現象――作中で「使徒の呪い」と呼ばれた不可解な事象の主たる因子こそが、この第9の使徒との永続的な融合でした。
ヤマト作戦の最終局面に至り、アスカは「ごめん、シンジ」という独白とともに自らの手で眼帯を剥ぎ取り、左目の封印柱を引き抜きます。溢れ出す使徒の力によってエヴァ改2号機は光の巨人へと変貌し、アスカ自身も人間であることを放棄して神の領域へと足を踏み入れました。第9の使徒の侵食は単なる一過性の事故ではなく、アスカがヒトの枠組みを超越して世界の命運を背負うための、長大な伏線として機能していたのです。