夜間の住宅街にサイレンが響き渡ると、「少し音を小さくできないのか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、消防車がサイレンを鳴らして走行することには、道路運送車両の保安基準に基づく厳格な法的義務があります。
法律上、緊急自動車が優先通行権を得るためには「赤色警光灯の点灯」と「サイレンの吹鳴」の両方が必須条件となっています。保安基準第49条では、サイレンの音量は「車両の前方20mの位置において90dB(デシベル)以上120dB以下」であることが定められており、勝手に音量を絞ったり消音して緊急走行を行ったりすることは原則として認められていません。
ただし、夜間の住宅街や病院周辺を走行する際、交差点進入時以外は一時的に電子サイレンの音質をソフトな立ち上がりに切り替えたり、鐘の音の連打間隔を調整したりするなど、安全確保を最優先にしつつ周辺環境に配慮した運用を行う消防本部も増えています。