物語の各所で登場し、強烈な印象を残した代表的な奇行種たちの正体と、背後に隠されていたドラマを整理します。
1. 喋る巨人の正体(イルゼの手帳)
調査兵団のイルゼ・ラングナーと遭遇し、言葉を発した奇行種です。この巨人はイルゼの顔を見るなり動きを止め、頭を垂れて「ユミル様…」「よくぞ…」と片言で発話しました。その正体は、かつてマーレ国内で「始祖ユミルの生まれ変わり」として祭り上げられた少女(後のユミル)を崇拝していた狂信者グループの信者(女性)でした。
彼女は楽園送り(パラディ島への追放・巨人化)にされた後も、心の奥底にあった「ユミル様への忠誠と敬愛」を消し去ることができず、面影の似たイルゼに対して捕食衝動を必死に抑え込もうと葛藤しました。最終的には巨人の本能に抗えず自らの顔面を引き裂きながらイルゼを捕食してしまいますが、無垢の巨人に生前の記憶の残滓が存在することを証明した歴史的場面でした。
2. ダイナ巨人の真相(カルラを捕食した巨人)
シガンシナ区陥落時にエレンの母・カルラを捕食し、後にハンネスをも死に追いやった「笑顔の巨人」。その正体は、エルディア復権派の指導者であり、フリッツ王家の血を引くダイナ・フリッツ(ジークの母)でした。
パラディ島へ追放される直前、彼女は夫であるグリシャ・イェーガーに対し、「どんな姿になっても…あなたを探し出すから」と涙ながらに誓いました。その誓いという名の呪縛は巨人化後も消えることなく、ダイナ巨人はグリシャの家へ真っ直ぐ向かい、後にはグリシャの息子であるエレンの前に現れました。この執念がエレンの持つ「座標(始祖の巨人)」の発動トリガーとなる皮肉な運命を呼び寄せたのです。
3. コニーの母親の巨人(ラガコ村の悲劇)
獣の巨人(ジーク)の叫びによってラガコ村の住民が一斉に巨人化させられた際、コニー・スプリンガーの実家に横たわっていた巨人です。手足が極端に細く自力歩行ができない奇行種でありながら、帰郷したコニーを見て「オ…カ…エ…リ」と声を絞り出しました。我が子を愛する母の母性が、巨人の本能による完全な自我喪失を寸前で食い止めた感動的かつ残酷な瞬間でした。
4. ロッド・レイス巨人(壁へ向かう灼熱の超大型奇行種)
レイス家の地下礼拝堂で、床にこぼれた巨人化薬を舐め取ったロッド・レイスが変貌した姿です。体長は超大型巨人の倍に達する120m級。自重を支えきれず腹部を地面に擦り付けながら進み、高熱と煙を放ちながら大量の人類が密集するオルブド区を目指しました。「より多くの生命反応(人間)が集まる場所へ惹きつけられる」という奇行種特有の捕食ベクトルが極端な形で現れた個体です。