鈴木保奈美のキャリアを語る上で、1991年にフジテレビ系列の月曜9時枠で放送されたドラマ『東京ラブストーリー』(柴門ふみ原作、坂元裕二脚本)は外せません。最高視聴率は32.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、「月曜日の夜は街からOLが消える」と言われるほどの社会現象を巻き起こしました。
彼女が演じた主人公・赤名リカは、従来の日本のテレビドラマに多かった「耐え忍ぶ従順なヒロイン像」を根底から覆すキャラクターでした。織田裕二演じる永尾完治(カンチ)に対し、街角で「カンチ、セックスしよ!」と真っ直ぐに想いをぶつける天真爛漫さと、恋の終わりを悟った際に見せる張り裂けそうな切なさ。そのコントラストを、鈴木保奈美は瑞々しい生命力とともに演じきりました。
当時の報道や特集記事を振り返ると、彼女のトレードマークとなったボブカットのショートヘアや、紺のブレザーに大判のチェック柄マフラー、リュックスタイルといったトラディショナルかつ機能的なファッションは、当時の女性たちのバイブルとなりました。スクリーン越しに放たれる屈託のない笑顔と、意志の強さを感じさせる大きな瞳は、男性ファンのみならず同世代の働く女性たちからも熱狂的な支持を集めたのです。