横浜ベイブリッジが開通した1989年9月、日本初の歩行者専用海上遊歩道として華々しくオープンしたスカイウォーク。初年度には約160万人もの来場者が押し寄せ、港町・横浜の新たな名所としてテレビや雑誌を席巻しました。しかし、その栄光は長くは続きませんでした。
横浜市港湾局の記録および当時の決算資料によると、開館当初は大人600円の入場料を設定していたものの、バブル崩壊とともに客足は急速に減衰。2000年代後半には年間来場者数が約10万人前後にまで落ち込み、年間数千万円規模の維持管理費と赤字が横浜市の財政を圧迫し続けました。アクセスの不便さや、当時は大黒ふ頭周辺に魅力的な周辺観光施設が乏しかったことも致命傷となり、惜しまれながらも2010年9月26日に完全閉鎖となったのです。
潮目が変わったのは2010年代後半、世界的なクルーズブームの到来でした。20万トン級を超える超大型豪華客船は、海面からの桁下高が約55メートルである横浜ベイブリッジをくぐることができず、大さん橋への接岸が不可能です。そこで横浜市は、大黒ふ頭に超大型客船対応の岸壁とターミナルを新設。その際、「大黒ふ頭客船ターミナルに着岸した巨大客船を間近から安全に見下ろせる絶好の見学スポット」として、眠っていたスカイウォークに白羽の矢が立ちました。
莫大な再整備費用を抑えつつ既存インフラを有効活用し、2019年4月に一部再開、2022年には円形展望フロア「スカイラウンジ」のリニューアルを経て本格復活。かつての有料観光アトラクションから、港湾行政と市民・観光客をつなぐ「パブリックスペース」へと価値を再定義したことが、現在の入場料金無料化という大英断を支えています。