テレビから姿を消した後、細木氏は会員制の講演会や個別鑑定へと軸足を移しました。しかし2010年代半ばを過ぎると、女性週刊誌などで公の場に姿を見せた彼女の「激やせ」ぶりが頻繁に報じられるようになります。かつて恰幅の良かった体型は見る影もなく細くなり、車椅子を利用する姿も目撃され、重病説や認知症の噂がネット上で飛び交いました。
そして2021年11月8日、細木数子氏は東京都内の自宅で静かに息を引き取りました。享年83。公式に発表された死因は「呼吸不全」でした。晩年は誤嚥性肺炎を繰り返すなど、老衰に伴う体力の低下と戦いながらも、自宅で近親者に見守られながらの穏やかな旅立ちだったと伝えられています。
彼女の死とともに世間の耳目を集めたのが、推定数百億円とも言われた「巨額の遺産相続」の行方でした。京都・左京区に構えた広大な寺院風の大豪邸、東京・神楽坂の一等地に位置する自社ビルや邸宅、そして年間数億円規模を生み出し続ける「六星占術」の商標権と出版印税など、その資産規模は個人事業主の枠を遥かに超えていました。
一般的に、莫大な遺産は親族間での激しい骨肉の争いを生むリスクを孕んでいます。しかし細木氏は、生前に極めて用意周到な法的手続きを完了させていました。それが、実の姪であり、幼少期から養育していた細木かおり氏との「養子縁組」です。2016年に正式に養女縁組を結び、自らの事務所代表権と知的財産権のすべてをかおり氏に一本化して生前贈与・承継を進めていたため、遺産をめぐる親族間トラブルは一切表面化することなく決着を見ました。