個人の健康管理とは別に、社会的なルールとモラルの面からも現状を把握しておく必要があります。各自治体が運営する公営プールや民間のスポーツクラブにおける生理中市民プールマナーを調査すると、利用規約や館内利用案内において「生理中の方の遊泳はお断りいたします」と明記されている施設が全体の7割以上にのぼります。
水中の塩素濃度は厳格に管理されているとはいえ、公共の場において他人の体液が混入する懸念を与える行為は、公衆衛生および心理的配慮の両面から忌避されます。「タンポンをしているからわからないはず」と自己判断で利用するケースも散見されますが、更衣室や採暖室のベンチに座った際に経血が付着する事故も起きており、施設側の清掃負担や営業停止トラブルに発展した事例も報告されています。市民プールやフィットネスクラブでは、施設の定めるルールを遵守するのが大人のマナーです。
一方、近年社会的な議論を巻き起こしているのが、小中学校や高校における生理プール授業見学の理由と、それを取り巻く教育現場の対応です。かつての昭和・平成期には「生理は病気ではない」「タンポンを入れて参加しろ」といった指導が一部で行われ、体調不良に苦しむ女子生徒を追い詰めてきました。
文部科学省やスポーツ庁の指導方針の近代化が進む現在では、生理による見学は正当な健康上の理由として認められています。冷水に浸かることによる月経痛の悪化や、過多月経による貧血、タンポンの使用に慣れていない思春期の身体構造への配慮から、無理に出席を強制することは指導死やハラスメントにつながりかねないという認識が教育委員会レベルで定着しつつあります。