画数が最も多い漢字ランキング!84画「たいと」の正体と実在の真相

画数が最も多い漢字ランキング!84画「たいと」の正体と実在の真相

画数が最も多い漢字ランキング!84画「たいと」の正体と実在の真相にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

辞書の隅に眠る奇字ではなく、「日常生活で私たちが書くことを求められる文字」に目を移すと、様相は一変します。文化庁が管轄する常用漢字表(全2,136字)の中で最も画数が多い文字は「鬱(うつ)」の29画です。

2010年11月の常用漢字表改定以前、最多画数の座を守っていたのは「鑑(かん・かがみ)」の23画でした。なぜこれほど複雑な29画の「鬱」が、わざわざ公の基準に追加されたのでしょうか。文化審議会国語分科会における議論の記録を辿ると、明確な社会的要請が浮かび上がります。

近代以降の医学・公衆衛生分野において「うつ病」「心因性うつ状態」などの用語が社会的に広く定着し、文芸作品や報道でも「暗雲立ち込める鬱蒼(うっそう)とした森林」「憂鬱な気分」といった表現が不可欠となったためです。パソコンやワープロの普及によって「書けなくても読めれば実用上支障がない(タイピング変換できる)」という判断が後押しし、画数の多さを理由に排除されることなく常用漢字への仲間入りを果たしました。

「木缶木(き・かん・き)、一(いち)引いて、冖(わかんむり)、鬯(ちょう)を書いて、彡(さんづくり)」という有名な筆順の語呂合わせ歌が存在するように、29画という密度は現代人にとって一種の知的エンターテインメントとしても親しまれています。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。