愛車のサイドウォールに傷を抱えたまま車検を迎えるドライバーにとって、合否の判定ラインは極めて切実な問題です。タイヤサイドウォールえぐれの車検基準を規定しているのは、国土交通省が定める「道路運送車両の保安基準第9条」およびその細目告示です。
保安基準では、タイヤに「著しい亀裂および破損がないこと」「コード層が露出するような損傷がないこと」が明確に義務付けられています。したがって、現場の自動車検査員による合否判定は以下の厳格な基準で下されます。
傷の深さがごく表層(1mm未満の薄い擦り傷)にとどまり、ひび割れや亀裂が内部に及んでおらず、コード層が一切見えていない軽微な状態であれば、検査官の目視確認を経て合格となるケースは存在します。しかし、少しでもゴムが深くめくれていたり、傷の奥に繊維状の組織が垣間見えたりする場合は、国土交通省保安基準と車検合否の審査において容赦なく不適合(不合格)判定が下されます。
ディーラーや大手カー用品店が運営する指定工場(民間車検場)では、認証工場やユーザー車検以上に厳しい独自基準を設けているのが実情です。指定工場は「車検を通した車が直後に事故を起こした場合、営業停止処分を受ける」という重い法的責任を背負っているため、少しでもバーストのリスクを孕むサイドウォールの傷は、たとえコードがギリギリ見えていなくても「保安基準不適合の恐れあり」として交換を強く要求されます。合否のラインを巡って現場で押し問答をすることは、安全性の観点からも全く無意味な行為と言えます。